スマートフォンを見る時間が長くなったり、パソコンの前に座る時間が増えたりすることで、「気がついたら背中が丸くなっていた」という経験はありませんか?
背中は自分ではなかなか意識しにくい部位ですが、実はその人の印象を大きく左右する場所でもあります。どんなに顔が明るくても、背中が丸まっていると疲れて見えたり、自信がなさそうに見えたりします。
そんな背中を整えるために有効なエクササイズの一つが、ピラティスの「バックローイング」です。今回は、スタジオで人気のこのエクササイズを詳しくご紹介します。
「バックローイング(Back Rowing)」は、ピラティス専用マシン「リフォーマー」の上で行うエクササイズの一種で、ボートを漕ぐような動きが特徴です。
上半身、特に肩甲骨や広背筋など背中の筋肉を使いながら、腕を後方へ引くことで、自然と胸が開き、姿勢が整っていきます。
このエクササイズの大きな魅力は、背中・肩・腕・体幹を「同時に整えることができる」点です。ただ鍛えるだけでなく、体の使い方そのものを見直すことができるため、ピラティスの中でも基礎としてとても重要なプログラムとされています。
バックローイングで得られる主な効果
以下は、バックローイングによって得られる具体的な効果を表にまとめたものです。
効果 | 内容 |
---|---|
姿勢改善 | 背中や肩甲骨まわりの筋肉を活性化し、猫背を改善する |
肩こり・首こりの緩和 | 肩甲骨の動きを高め、筋肉のこわばりを和らげる |
二の腕・背中の引き締め | 上腕三頭筋や広背筋を使い、後ろ姿を引き締める |
呼吸の質の向上 | 胸が広がりやすくなり、深い呼吸ができるようになる |
自律神経の安定 | 呼吸と連動させて動くことで、心身のバランスが整いやすくなる |
現代人の多くが悩む「巻き肩」「猫背」「呼吸の浅さ」を、まとめて改善できる点もバックローイングの魅力です。

基本のエクササイズ
バックローイングには、いくつかのバリエーションがあります。ここではリフォーマーを使った代表的な5つをご紹介します。
種類 | 特徴と動きのポイント |
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ラウンドバック(Round Back) | 背骨を丸めながら後方にローリングし、腕を後ろに引く |
フラットバック(Flat Back) | 背中をまっすぐに保ったまま、腕を後ろに引く |
アームズオープンワイド | 両腕を大きく横に開き、前方に回して戻す |
オーバーヘッドリーチ | 腕を天井に向かって伸ばしてから、横に回して前に戻す |
バイセップスカール | 背筋を伸ばした姿勢で肘を曲げてカール動作(上腕を鍛える) |
これらの動きを組み合わせることで、単調にならず、全身をバランスよく鍛えることができます。
応用編:片手ツイストで体幹強化
より体幹の使い方を高めたい方には、片手で行う「ツイストバージョン」もおすすめです。
背骨の回旋(ひねり)を加えることで、より深いコアの筋肉(腹斜筋や多裂筋など)を活性化させ、日常動作でも重要な「分離と安定」を練習することができます。
エクササイズ名 | 内容とポイント |
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ワンアームローイングツイスト | 片手でストラップを持ち、体幹をねじりながら後方に腕を引く |
ツイスト+オーバーヘッド | ツイストした状態から腕を上に伸ばすことで、腹斜筋と肩の柔軟性を同時に強化 |
特に左右差を感じる方には、このような片側ずつの動きがとても有効です。

安全に行うための注意点
ピラティスのエクササイズは、見た目よりも繊細なコントロールが必要です。以下の点に注意して行うことで、より効果的に、安全に動くことができます。
注意点 | 内容 |
---|---|
骨盤を安定させる | 動きの中で腰が左右に揺れないようにする |
肩をすくめない | 肩甲骨を下げ、首に力が入らないように意識する |
無理にねじらない | 胸椎からの自然なツイストを意識し、腰に負担がかからないようにする |
呼吸を止めない | 動きとともに呼吸をしっかりと続ける |
筋肉痛がある日は避ける | 疲労が強い時はお休みし、回復を優先する |
最後に
「バックローイング」は、ただ背中を鍛えるだけでなく、全身の使い方を見直すきっかけにもなるエクササイズです。特に、姿勢や後ろ姿に自信を持ちたい方にとって、効果が出やすく続けやすい動きでもあります。
初心者の方でも始めやすく、少しずつバリエーションを増やすことで飽きずに継続できます。肩こりや猫背、呼吸の浅さを感じている方は、ぜひ一度体験してみてください。
背中が変わると、姿勢だけでなく気持ちも自然と前向きになっていきます。日々の姿勢を整える第一歩として、ぜひ「バックローイング」を取り入れてみてください。

広島県尾道市のマシン専用ピラティススタジオ「ピラティスシー」